不動産オーナーの方へ

藤田明税理士事務の得意分野は不動産、建設です。

アパート、マンション経営の申告おまかせください。

不動産についての正確な会計税務情報をお伝えします

 

    

   不動産管理会社の会計・税務


          個人保有と法人保有、どちらが有利?
 税率だけで比較すると、課税所得金額が900万円を超えると法人所有が有利になります。  住民税は課税所得金額の水準に関係なく一律10%です。それに足して所得税は課税所得金額に応じて5%から45%です。したがって課税所得金額の増加に伴い、所得税・住民税の税率は15%→20%→30%→33%→43%→50%→55%と階段を上るように上がっていきます。  法人に関しては中小法人の実行税率は800万円以下の所得に対しては15% 800万円超の所得は23.2%の税率です。  中小法人の税率だけで比較すると、課税所得金額が900万円超なら個人が43%から55%になるのに対し、法人は33%台となり、法人所有が有利です。
Ⅰ 不動産管理会社
1. 不動産管理会社の種類、運営の方針
 管理型、サブリース型、所有型  不動産管理会社については、そのオーナーの財産規模等によって、その会社をどのように活用していくかを考えます。
(1) オーナーの財産を不動産管理会社に集約させる(所有型法人)
 財産規模が大きいオーナーになるほど、相続を経るたびに多額の相続税が課せられ、財産を売却したり物納するなどしてオーナーの財産が失われていくのが一般的です。ところが、個人には相続がありますが会社には相続という概念がありません。したがって、いったん家の財産を会社に移転させると、相続を経ることなく財産を永続して守っていくことができる。  もちろん、個人オーナーが会社に対して出資していれば、その所有している法人株式を通じて相続税が課せられることになりますが、株式であれば生前に計画的に次世代に移転させていくことが可能ですし、不動産そのものを移転させるよりも手続きが簡便です。 特に土地については、先祖代々の土地であれば取得費が不明または非常に低額であることが予想されますので、最大、売却価額の95%が利益であるとみなされ、譲渡所得税の負担が非常に重くなってしまいます。身内の中で資産を動かしているだけであるにもかかわらず、それに対して多額の税金が課されることは避けたいところです。  このことに対する方策は、会社が土地を取得するのではなく、建物を取得する。あるいは 更地のうえに会社名義で建物(アパートなど)を建てるべきであります。  個人は底地を所有して、会社が借地をすることになりますので、借地権をやりとりするときは権利金を払うことになります。使用貸借契約であれば権利金はなく、土地の評価は20%評価減となります。借地権を発生させないようにするには、予め、無償返還届を 税務署へ提出します。  既にある建物を取得するときは建物を時価で取得することになりますが、おおむね 建物を減価償却してきたのであれば、その簿価で会社が買取れば会社へ 建物を移せる。
(2) 法人は所得を通過させる役割を担う
 手持ちの金融資産で十分相続税の納税ができそうな方にとって、会社は不動産の所有を目的とするのではなく、収入の分散のためにだけ会社を活用する方法が考えられます。この場合、会社は所得を通過させることが主目的となりますので、会社が得た収入から必要経費を引いた残額はすべて親族に給与を支払って分散させ会社の所得をできるだけ抑えて法人税の負担を軽減させる方法が有効です。  会社と設立して利用する目安は個人の不動産所得が1000万円を超えるあたり。  ① 個人が不動産を所有して、その収入をすべて個人で計上すると所得税は累進課税で33%~50%税率がかかります。会社であれば所得が800万円以下は法人税率は15%に軽減されています。この税率差を利用する。 ② 会社の役員給与を払うことで所得を分散する。 ③ 相続財産の増加を防ぐ  オーナーの不動産所得を会社へ分散する
(3)会社活用のデメリット
 会社設立に費用がかかる。 30万円ぐらい  個人所得と法人所得に分ける。法人税申告書を作成しなければならない。  赤字でも、法人は均等割りの負担がある。 7万円など  建物建築後3年以内の相続では、会社株価算定に関しては建物の評価額は建築価額。  3年経過後に建物評価額は固定資産税評価額となる。  今回会社の株価算定は重要項目ですが、今回はとりあげ省略しています。
2.不動産管理会社 各論
(1)管理型法人(管理委託方式)
 会社は駐車場、賃貸物件を管理する。会社の収入は管理料収入のみになります。  管理委託方式で最も重要なポイントは会社への管理料をいくらにするかという点です。管理型法人(同族会社)への管理料の支払いを通して不動産オーナーの所得が分散され、税の軽減につながります。したがって、通常、管理料は多ければ多いほど効果があります。
しかし、税務調査において、管理業務実態に照らして支払った管理料が「不相当に高額」と認められると、その高額な部分は不動産オーナーの必要経費として否認されることになります。実務上、税務署において同族会社に対する管理料が「不相当に高額」と認められ否認された例は数多くあります。これは、同族会社ゆえ、第三者(まったく関係のない市中の業者)に支払う管理料に比べて著しく高額に管理料を設定し、その結果、税金負担を不当に減少させたとして「同族会社等の行為又は計算の否認等」の規定を適用するものです。管理委託方式の場合、不動産オーナーが会社に支払う適正な管理料の算定が最重要ポイントになります。
 同族関係のない管理会社の場合管理料の賃貸収入全体に占める割合は5%、5%から 10%で、10%以内が多いのではないか。平均は8%といわれている。
 管理委託の内容
 家賃の集金代行や入退去時の立会。集金代行の場合は家賃の入金口座は個人名義の 口座ではなく不動産管理会社名義になります。
 オーナー相続があっても建物賃貸人と不動産管理会社との契約書の変更は不要である。 管理会社と相続人との賃貸借契約のみの変更でよい。  注意すべき点 適正管理料としては6%が一般的。8%を超えるとやや注意といえる。管理料設定の目安は市中の管理会社に管理業務を委託したときの管理料割合が 参考になる。  管理型法人の管理業務の内容
 入居者の募集や面接
 賃貸借契約の締結、更新、解約などの手続き
 入居者の入居時のチェック
 入居者や近隣住民などのクレーム処理
入居者の退去時のチェックと清算金の清算
家賃の請求と受領
敷金、礼金、保証金等の請求と受領
建物及びその周辺の清掃・見回り、警備(巡回)・管理業務
共用部分の保守・管理業務
建物の修繕工事等の見積もり依頼や工事の選定、発注業務
建物保守管理業務(エレベータ、電気保安)に伴う業者への連絡・発注・確認業務
大規模修繕計画の立案、実行、チェック業務
エレベータの保守管理費、大規模修繕計画による修繕費などは金額が大きくなります。
予め個人会社間で負担を決めておく必要があります。
  (2)サブリース方式
   サブリース方式はアパート等を一括して借り上げます。不動産オーナーからすると、一括転貸方式のメリットは、入居率に関係なく、毎月一定額の家賃収入を得ることができる点です。不動産オーナーの一番の悩みは空室リスクであり、これが回避できるところに一番のメリットがあります。また、会社が一括で借り上げた後は、管理業務はすべて転貸型法人が行うため、管理の煩わしさから解放されます。このようなメリットがあるため、転貸型法人への一括賃貸料は低く設定されることになります。
一括で借り上げる転貸型法人は空室率を低くすれば(入居率が高いと)多くの利益が残りますし、空室率が上がれば(入居率が低いと)利益が減ります。空室率によっては、転貸型法人に損失が生じることも考えられます。通常、第三者である同族以外の市中の不動産業者が行う一括転貸方式による賃貸料は 物件の種類や立地条件、見込まれる入居率等により算定されますが、「満室の場合の家賃収入の85~90%程度が多いようです。  また、新築物件を一括で借り上げる場合は、入居者ゼロからスタートし、募集により徐々に入居率が上がっていくため、これに合わせた契約形態(例えば、当初1ケ月は一括借り上げ料率50%、2ケ月は75%、3ケ月以降は85%といったような契約)がとられることになります。
 したがって、不動産オーナー個人と転貸型法人(同族会社)の間で一括借上料を算定する場合には、このような同族以外の市中の不動産業者との契約条件を参考に決めることが 課税当局とのトラブル回避につながります。
 満室の場合の家賃収入の85~90%程度という場合の家賃収入は管理委託方式の場合と同様、礼金や更新料等の臨時的、一時的収入や共益費、共用部分の水道光熱費等を除いて計算するのが相当を考えられます。
一括転貸(サブリース)方式は、不動産所有者は個人のままです。その個人が所有する不動産を低い家賃で一括して会社(同族会社)に賃貸(借り上げ)し、これを会社(同族会社)が通常の家賃で第三者の賃借人に賃貸(転貸)する方式です。不動産オーナーから会社へは、受け取った家賃と支払った家賃の差額が所得分散(収益移転)される。したがって、不動産オーナーから会社への一括賃貸料をいくらに設定するかが最も重要なポイントになります。
  個人の負担
 建物本体
 外構
 外部設備など
 建物の内部設備
 会社の負担
 壁クロス等の破損汚損部分の張替補修
入退去時のカーペット、フローリング等の補修費用
入退去時の室内クリーニング費用
樹木類の手入れ
物件周辺や共用部分の清掃
共用電気料、共用水道料
空室時の電気、水道の料金
電球取替等費用
ゴミ回収費用

  (3)所有型法人方式
 会社が不動産を所有する方式(所有型法人方式)  会社が不動産を所有(会社名義で賃貸用建物を所有)する方式は、建物の名義は 同族会社になります。したがって、家賃収入はじめ、礼金・更新料等の一時的・臨時的な収入もすべて会社の収益となります。
 管理型法人や転貸型法人は家賃収入に対し一定割合の所得分散(利益移転)効果しか見込めず、また、管理実態などにより課税当局とのトラブルが散見されます。しかし、会社名義で建物を所有する場合は、建物とその収益が名実ともに会社のものであり、所得分散(利益移転)効果も大きく、課税上のトラブルも少なく、スキームも簡便であるといえます。(この形態の法人を「所有型法人」と呼ぶ)  所有型法人の場合、建物を新築した際に名義を会社とする方法と、中古建物(個人名義)を会社に移転する方法の2つがあります。
 中古建物を所有型法人名義にするときは、どの物件を所有型法人名義とするか、その 場合の移転価額の算定はどうするか、銀行ローンの引継は可能か、所有型法人負担の登録免許税や不動産所得税はどのくらいかなど様々な点に留意して実行することが必要となります。
 建物の譲渡価額
 適正な時価 不動産鑑定士による評価 不動産業者による精通者意見価格
 建物の固定資産税評価額
 などによって適正な時価を求めます。実務対応として一定の条件の下 帳簿価額=時価と判定することもできる。
 建物の所有権移転登記を行うと建物の賃貸人と賃借人での建物賃貸借契約書を再作成する必要あり。  推定相続人が兄、弟であるとき、それぞれに収益物件を相続させたいなら、 兄弟で会社を2つ設立することもできる。
 そうでないと相続で会社の株式が2分の1づつの共有状態になる。
 なお、建物敷地については個人の名義のままで、所有型法人が一定の地代を支払う場合が多いのが実情です。これは、移転時の譲渡所得課税や登録免許税・不動産取得税等の負担の問題のほか、所有型法人の購入資金の調達問題、相続税計算時の評価減などを勘案しての対応といえます。  ②所有型法人と不動産オーナー(地主)の貸借契約の形態、地代の設定
所有型法人の場合、所有型法人が建物を所有し、不動産オーナー(個人)が 地主という関係になります。
 この場合、所有型法人と不動産オーナー(地主)の間で土地の貸借契約を 締結することになります。税務上は、この貸借契約の結び方が重要なポイントとなります。  所有型法人と地主の貸借契約は、大きく分けて「賃貸借契約」と「使用貸借契約」の2つ が考えられます。
 賃貸借契約は、土地の固定資産税と都市計画税の合計額を上回る地代を所有型法人が地主に支払います。実務上は、概ね固定資産税と都市計画税の合計額の2~5倍の地代設定が多いようです。支払地代が多額になると所有が法人から地主へ所得が逆流するため、地代設定は低めが望ましいといえます。また、固定資産税や都市計画税は毎年変わりますので、地代の額も毎年見直すような契約形態が一般的です。なお、借地権が異動しないよう「土地の無償返還に関する届出書」提出しますが、これにより地主の相続時に土地評価の際「20%の評価減」の適用が受けられます。なお、この場合、借地権者が地主の同族関係者となっている同族会社であるときは、その同族会社の株式又は出資の評価上その宅地の自用地として価額の100分の20に相当する金額を純資産価額に算入することになります。
 使用貸借契約は、地代の支払いをしないか、又は、地代の額を固定資産税・都市計画税の合計額相当額までに抑えた契約となります。  一般的には、地代の額を固定資産税・都市計画税の合計額相当額とすることが多いようです。地代が低い(又はない)ため、所得の逆流は防げますが、その反面、地主の相続時の土地評価は「自用地で評価」され、評価減の適用は受けられません。  実務上は、相続税の評価減を視野に「土地の無償返還に関する届出書」を提出し地代の額を低く設定する賃貸借契約をとることが多く見られます。
(4)小規模宅地の特例
 スライドに記載  (5)無償返還届出書
 法人の借地人が通常権利金を支払う取引上の慣行があるにもかかわらず、借地権の設定等に権利金を支払わず土地を借りた場合において、その後の支払地代の額が相当の地代の額にみたないときであってもその借地権の設定の契約書において将来借地人がその土地を無償で返還することが定められており、かつ土地の無償返還届出書を地主との連名で税務署長に届け出たときは相当の地代から実際に収受している地代の額を控除した金額を地主から贈与されたものとして相当の地代の認定課税をするに留め、借地権の認定課税はされない規定になっています。

▲このページの先頭へ
Copyright© 藤田明税理士事務所